オーバープリントで白が消えたり出てきたり?

 オーバープリントって何?
オーバープリントとは、印刷時に指定の色を下の色に重ねて印刷することで「ノセ」とも呼ばれます。
オーバープリントを行う設定がされているオブジェクトは、その下に重なっているオブジェクトがある場合、印刷すると下のオブジェクトの色が混ざって印刷されます。
Illustratorなどのソフトで設定できる透明効果の「乗算」に近いイメージです。

意図的に使用されている場合は問題ないのですが、薄い色やブラック1色のオブジェクトにオーバープリントの設定がされていると予期せぬ仕上がりとなってしまう場合があります。

まずはどのようなことが起こってしまうのかチェックしてみましょう。

 オーバープリントが設定されていると…
Illustrator上で画像を用意しました。
シアン100%の帯の上にマゼンタ10%〜100%、白、ブラック100%、他の3色を10%ずつ混ぜたブラック100%の四角を2個ずつ用意しました。
同様に、マゼンタの帯にイエロー、イエローの帯にシアンを乗せています。
それぞれ下段の四角には「塗りにオーバープリント」の設定がしてあります。

※オーバープリントの影響は他の色の組み合わせでもあります。

「塗りにオーバープリント」の設定をした四角と、設定していない四角が並んでいます
これを、「オーバープリントプレビュー」で見てみると…
オーバープリント設定の効果は、オーバープリントプレビューで確認できます
オーバープリントの設定がしてある四角の色が変わってしまいました。
下の帯の色に上の四角の色が混ざっているためで、白(=紙の色)や薄い色はほとんど見えなくなってしまう組み合わせもあります。
ブラック100%はあまり変化がないように見えますが、形を変えてみて見ると下の色が透けていることがわかります。
(※画面の設定によって、見えにくい場合もあります)
K100%のブラックは、オーバープリント設定がしてあると下の色が透けて見えます。
 ヌキ(抜き)、またはノックアウト

オーバープリント設定の有無で、どのような処理の違いがあるのでしょうか。

オーバープリント設定をしたものは、先述した通り下の色に重ねて印刷(ノセ)するので、下の色が残っている状態になります。
一方でオーバープリント設定をしていないものは、下の色がない状態で印刷をします。これを「ヌキ」や「抜き合わせ」または「ノックアウト」などと呼びます。

オーバープリント設定したものは、下の色に重ねて印刷し(ノセ)、設定していないものは下の色がない状態で印刷します(ヌキ)

「オーバープリントの設定をしていると色が変わってしまうなら、すべて設定しなければ良いのでは?」と思いますが、ヌキは見当ずれ(版ずれ)が起きると白い部分(紙が出てしまう可能性があります。
色の上に乗せるブラック100%の文字など細かい部分ではオーバープリントの設定をした方が良いかもしれません。

ヌキは見当ずれが起きると紙の地の色が出てしまいます。

ちなみに、見当ずれが起きた場合に白が出るのを防ぐために、抜いた部分の色と色の境目に髪の毛のように細い重なりを作っておくことを「毛抜き合わせ」や「トラッピング」と呼びます。
「抜き合わせ」と「毛抜き合わせ」…ややこしいですね…。

「毛抜き合わせ」または「トラッピング」とは、見当ずれが起きた際に白が出るのを防ぐために色と色の境目をわずかに重ね合わせることです

 気付かぬうちに…
意識しないと見落としてしまいがちなオーバープリントの設定。
次回はアプリケーションごとの設定・確認方法をまとめていきます。

 
                                                 

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